手塚治虫のブッダから
<仏教精神へ傾倒する手塚治虫が、語る仏教の思想>
ブッダは率直に言って、「すごい哲学者」です。いわゆる仏教の教えを説いた宗教的カリスマであるよりも、哲学者として偉大である。その深い広大な思想は歴史を超え、むしろ現代に生かさなければならない、じつは最も新しい思想だと言えるのです。
仏教ほど人間愛を直截的に語りつくしているものはない。そこにごまかしがありません。しかも自然と人間、宇宙との人間、自分と他人。こうした天地のものすべてが一体だと、全部を包み込んで、そしてつなげてしまうようなところがある。
人間の哲学が小さく小さくなってゆく中で、これは広大で、現代が必要としている思想ではないか。これを持たないで21世紀も22世紀もない。地球も人間も存在しないという気さへします。