いろんな仏教観(その1)
~~~~~~佐々木閑氏による『釈迦の仏教』~~~~~~
NHK教育テレビ「100分で名著」で『ブッダ 真理のことば』が放送されました。
その講師、花園大学教授 佐々木閑氏のテキストです。(要約版)
<一口に仏教と言っても幅広い>
仏教は、キリスト教やイスラム教など、他宗教に比べてはるかに多様性の広い宗教。
ほとんどのお経は、ブッダが亡くなった後の長い歴史の中で、別の人たち が作ったもの。
<釈迦の仏教とは>
釈迦の仏教の最大の特徴は、念仏を称えれば救われるといったような、外の力(神秘的な力)に救いを求める宗教ではなく、「自分の道は自分で開け」という厳しい教え。
救済を求める祈りの宗教ではなく、自分で進む自己鍛錬の道。
<悟りへの道=瞑想>
いくら身体を痛めつけても心の安らぎは訪れない。
修行の本質は、肉体を痛めつけることではなく、ただひたすらに精神を集中することにある、という真実に釈迦は気づいた。
事の本質は、肉体ではなく精神にある。そこでひたすら瞑想に入った。
<布教>
キリスト教の場合、イエスは最初から「救世主」として登場したが、釈迦はもともと、自分自身の苦しみを解決するために修行を始めたのであり、人助けをしようなどとは考えていなかった。
仏教では、布教が義務化されていない。
<世界観>
一切皆苦
この世は苦しみだらけ。苦しみ以外の何物でもない。
人が生きるということは、苦を背負って日々を過ごすこと。
<因果則>
人の苦しみにはすべて原因がある。この世の出来事はすべて、原因と結果の峻厳な因果関係に基づいて動く。
人は自分の行為に対し、100%その責任を負わねばならない。
この世を動かすのは、因果則以外にはあり得ない。
従って、因果関係を無視してどんなことでもしてくれる超越的な絶対者など存在しない。
<到達した境地>
苦しみの原因は心にある。
この世の苦しみを消すには、自分の心の在り方、ものの見方を変えるしかない。
自分を変えることが唯一の救われる道。
諸行無常:この世のすべてのものはうつろう、永遠不滅なものなどない。
諸法無我:この世の一切の事物は自分のものではない。
そもそも、自分自身が自分のものではない。
自己中心的なものの見方を捨てた時、世のありさまの真の姿が見えてくる。
そうすれば、自分がなすべき行動もわかってくる。
涅槃寂静:悟りの境地に至った人には、生死はもはや関係ない。