ima、読書中です。 「ブッダの人と思想」
第7章 生きものたちに幸いあれ
<わがもの>という我執を離れると、自然に利己心が減少し、気持の上で他者と相通じる感情の交流が成立します。
そこに人間の美質が湧きます。
その最も純粋なものが「慈悲」です。(大智度論、十地経論)
妄執や欲望を克服し心身が浄化されれば、人の願いは他の生き物への慈愛となって顕れます。(スッタニバータ143-152)
「自己を愛しいと思うものは、他を害してはならない」(ウダーナ、スッニバータ705、935-936、ダンマバタ129-130、テーラガーター33、237-238、559-561)
真理の道を奉ずるものが、世の無理解と迫害に耐えて、決して慈しみの心を失わない。
これを「忍辱」といいます。(南伝大蔵経35-88、ダンマバタ5、197)
このように見てくると、ブッダの教説は「我執を離れ、精神を統一し、慈悲心をいだいて修業すれば解脱に至る」というものです。